VESTAはWindows, Mac OS X, Linuxの3大プラットフォーム上で動作する。 VESTAのGUIは各OSに固有の外見であるため、違和感のない操作性が得られる。
原子、結合、配位多面体、isosurface上のポリゴンなどは、物理メモリーが許す限りほぼ無制限に作成することが可能である。
同一プロセスで複数のウィンドウを表示させることができ、更に、各ウィンドウ内ではタブを利用して複数のデータを開くことが可能である。
VESTAは、配位多面体や分子が途中で途切れることのないように、表示領域の外にある原子まで自動的に探索する機能を備える。また、x, y, z軸方向の表示範囲に加え、平行6面体を切る任意の"cutoff plane"を定義することで、表示領域の形状を柔軟に設定することが可能である。
構造モデルは以下の5つのモードで表示される:
- Ball & stick,
- Space filling,
- Polyhedral,
- Stick,
- Wireframe.
Ball-and-stick, wireframe, stickモードではファンデルワールス半径を示す点描の球を重ね合わせることができる。Ball-and-stick, polyhedralモードでは熱振動楕円体を描くことができる。
オブジェクト (原子、結合、配位多面体) をクリックして選択すると、ウィンドウ下部のテキストエリアに各種の結晶学的データが出力される。
- 原子の分率座標,
- 対称操作と並進ベクトル,
- サイトの多重度, Wyckoff記号, サイト対称性,
- 異方性原子変位パラメーターの主軸方向のベクトルと平均二乗変位,
- 原子間距離、結合角、ねじれ角,
- 配位多面体に関する情報:体積、Baurの歪指数、quadratic elongations, bond angle variance, 結合原子価 (bond valence sum), 結合原子価から予測される平均結合距離。
標準的な空間群設定から非標準的な設定への等価位置の変換をサポートしており、軸変換や原点シフトした構造を描くことが可能。同じく変換行列を利用することで、単純格子-複合格子の変換や、超構造の作成が可能。
磁気モーメントや原子変位を表すベクトル(矢印)を表示可能。
等値曲面は"smooth-shaded polygon", "wireframe", "dot surface"の3種類のモードで表示される。データが正負両方の値を含む場合、例えば波動関数や中性子の干渉性散乱径密度データなどは正の等値曲面と負の等値曲面が異なった色で区別される。
2つ以上の三次元ピクセルデータ間で、加算、減算を行った結果を表示したり、データに係数を掛けて単位を変換することが可能である。
この機能を利用して、例えば、MEMによる電子密度データから構造モデルの電子密度を差し引けば、モデルに含まれない軽元素の視認性が増すであろう。また、電子状態計算でアップスピンを持つ電子の密度とダウンスピンを持つ電子の密度を個別に計算させておき、両者の差分から有効スピン密度を表示させることも容易である。
等値曲面の表面は面上の各点における物理量に基づいて彩色することが可能である。この機能は、例えば等電子密度面の表面を静電ポテンシャルに基づいて彩色した静電ポテンシャルマップの表示等に用いる。
三次元ピクセルデータ中のピーク位置を探索し、一覧をテキストエリアに表示する機能をもつ。この機能を用いれば、MEM、差フーリエ、chage flipping法などの、電子密度データから原子の分率座標を容易に求めることができる。
三次元の表示画面中に、半透明の格子面を任意の枚数挿入することができる。構造モデルのみのデータに対しては、指定した色で格子面が描かれる。三次元ピクセルデータを含む場合は、格子面と表示領域の境界部分の双方がデータの値に基づいて彩色される。
"2D Data Display"ウィンドウは三次元ピクセルデータの二次元断面図の表示に特化しており、等高線を含むカラーマップ表示やBird's eye view表示の機能をもつ。
結晶外形と結晶模型や等値曲面とを重ね合わせた統一的な可視化を実現。双晶やエピタキシャル結晶など、ほとんどのタイプの結晶形態を描画可能。
RIETAN-FPの入力ファイル(*.ins)や出力ファイル(*.lst)を読み込んだ場合、*.ffeの拡張子をもつファイルを自動的に探し、そこに記されている原子間距離と結合角の一覧を"Geometrical Parameters"ダイアログに表示する。ダイアログ中の項目を選択するとGraphic Area中の対応する原子や結合がハイライト表示される。逆に、Graphic Area中でDistanceツールを使って原子間距離を測ったり、Angleツールを使って結合角を測ったときに本ダイアログが表示されていれば、一覧の中から対応する項目が探索され、選択された状態になる。
結晶構造データの標準化、およびNiggli-reduced cellへの変換をサポート。
バックグラウンドでRIETAN-FPを起動することにより、現在表示中の構造の粉末回折パターンをシミュレーションすることが可能である。
バックグラウンドでMADELを起動することにより、サイトポテンシャルとマーデルングエネルギーの計算が可能。